「毎月3万円も払ってるから、まあ大丈夫だろう」
「限度額いっぱいまで使えて、魔法のカードだな」
そんな風に思っていた時期が、私にもありました。
あの日の夜、ふと気になって電卓を叩いてみるまでは・・・
画面に表示された数字を見た瞬間、背筋が凍りました。
あるクレジットカードで限度額100万円を全額リボ払いにしていたのですが、毎月3万円も払っているのに、そのうちの 2万円が「手数料」として消えていたのです。
元金はたったの1万円しか減っていませんでした。
これは、そんな狂気の沙汰とも言える使い方をし、「終わらない返済」の沼にハマった私の記録です。
なぜ「リボ払いはやばい」と言われるのか?【数学的な理由】
なぜこれほどまでに、リボ払いは「やばい」と恐れられているのでしょうか?
その理由は、私たちの感情論ではなく、数学的な仕組みにあります。
多くの人が陥る最大の罠は、「借金をしている感覚が麻痺する」 という点に尽きます。
毎月の支払いが一定であるため、借金の総額が増えていることに気づきにくいのです。
さらに、その構造上、支払いの大半が手数料に消え、元金が一向に減らない仕組みになっています。
ここでは、その具体的なメカニズムについて、感情を抜きにして数字で解説します。
「元利均等返済」の落とし穴
私が陥っていたのは、「残高スライド元利定額リボ方式」という支払い方法でした。
この名称だけで思考停止しそうになりますが、仕組みは単純かつ残酷です。
簡単に言えば、「毎月の支払額を一定にする代わりに、返済期間を極限まで延ばす」という契約です。
当時の私の状況を例に挙げます。
利用残高 : 100万円(限度額MAX)
月々の支払額 : 3万円
手数料(年率): 15.0%
これを分解すると、以下のようになります。
まず、1ヶ月にかかる手数料(利息)を計算します。
100万円 × 15% ÷ 12ヶ月 = 約12,500円
つまり、毎月3万円を支払っても、そのうち約1万2500円はカード会社の利益(手数料)として消えてしまいます。
手元に残る返済充当額は、たったの1万7500円です。
(※実際には日割り計算などで変動しますが、大まかな構造は上記の通りです。私の場合は他の借り入れもあったため、体感では 2万円近く が消えている月もありました)
この状態は、まさに 「穴の空いたバケツに水を注いでいる」 のと同じです。
必死に水を汲んでバケツ満タンに入れようとしても(返済しても)、底の穴から大量の水が漏れ出ている(手数料として消えている)ため、水位(元金)はほとんど変わりません。
これが、「リボ払いは終わらない」と言われる数学的な理由です。
私の体験談:Amexから「通告」が来た日
「リボ払いは便利だ」。そう勘違いしていた私は、メインカードだった アメリカン・エキスプレス(Amex) でも禁断の一手を使ってしまいました。
当時の私のAmexの限度額は 30万円。
ある月、少し気が大きくなって 10万円 ほどの買い物をしました。
しかし、支払日が近づいてきて青ざめました。
「銀行残高が足りない……」
焦った私は、その10万円分の支払いを、急いで「あとリボ(リボ払いへの変更)」 に切り替えました。
「これで今月の支払いは数千円で済む。助かった」
そう胸を撫で下ろしたのも束の間でした。
突然の電話と、半分になった限度額
変更から数日後、Amexから電話がありました。
丁寧な口調でしたが、内容は衝撃的なものでした。
「カードのご利用限度額を、現在の半分に変更させていただきます」
利用停止こそ免れましたが、事実上の「イエローカード」です。
たった一回。たった一回、支払いを先延ばしにするためにリボに変えただけです。
しかしAmexは、その裏にある私の「資金繰りのショート」を完全に見抜いていました。
実はこの時、他のカード会社(ここでは名前は伏せますが)からは、逆に 「限度額を増額しました!」 という通知が来ていました。
リボ払いで首が回らなくなっている私に、さらに借金をさせて手数料をむしり取ろうとする会社。
一方で、冷徹に「お前はもう危ないぞ」とブレーキをかけてくるAmex。
当時はショックでしたが、今思えば 「これが、世界基準の信用管理か」 と納得しました。
そして何より、電話を切った後の私の心には、不思議な感情が芽生えていました。
「信用を失った」というショックの裏で、 内心ほっとしている自分 がいたのです。
「ああ、これでこれ以上使えなくなる」
「このままじゃいけないんだ」
強制的に枠を狭められたことで、私は初めて「異常な状態」から解放された安心感を感じていました。
これは、自分で自分を止められなくなっていた依存症の心理そのものでした。
「終わらない」リボ地獄のシミュレーション
「カードが止まる」という強制終了がない限り、多くの人は「毎月払えているから大丈夫」と錯覚し続けます。
しかし、その裏で「終わらない地獄」が進行していることに気づくのは、数年後です。
ここでは、具体的な数字を使ってシミュレーションを行います。
もしあなたが、50万円の買い物をリボ払いで行い、月々1万円ずつの返済設定にしていたら、完済までにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
50万円借りて月1万円返済の場合
結論から申し上げます。
完済までにかかる期間は 「約6年半」 です。
そして、元金50万円に対して支払う手数料の総額は 「約29万円」 に達します。
【シミュレーション条件】
借入残高 : 50万円
毎月の返済額 : 1万円(元利定額)
実質年率 : 15.0%
【シミュレーション結果】
返済回数 : 79回(6年7ヶ月)
返済総額 : 79万600円
うち手数料 : 29万600円
いかがでしょうか。
50万円の商品を買うために、あなたは最終的に約80万円を支払うことになります。
特筆すべきは、最初の1回目の返済内訳です。
月1万円を支払っても、そのうち 6,250円 が利息として引かれ、元金は 3,750円 しか減りません。
半分以上が「手数料」として消えているのです。
「働き損」の正体
この数字が意味する事実は残酷です。
もしあなたが時給1,000円で働いているとしたら、毎月の返済のために働く10時間のうち、6時間分はカード会社への「上納金」として消えている計算になります。
自分の買い物のために働いているのではなく、カード会社の利益のために働いていると言っても過言ではありません。
「月々1万円なら楽だ」という感覚は、この「莫大な手数料」と「拘束時間」を隠すための麻酔です。
この計算結果を見てもなお、「リボ払いは便利だ」と言える人はいないはずです。
もし現在、リボ払い残高がある方は、一度ご自身の契約内容でシミュレーションすることをお勧めします。
「いつ終わるのか」を知ることは、恐怖ですが、脱出への第一歩です。
リボ地獄から脱出する3つの方法
では、この地獄から抜け出すにはどうすればよいのでしょうか。
精神論ではなく、物理的な解決策は以下の3つしかありません。
現在のあなたの状況(借入額と収入)に合わせて、最適な方法を選んでください。
1. 一括返済(可能なら最強)
もし手元に貯金がある、あるいは親族から無利子で借りられる当てがあるなら、迷わず 「一括返済」 を選んでください。
これが最も経済的ダメージが少なく、一瞬で自由になれる方法です。
「親に頭を下げるのは恥ずかしい」
その気持ちは痛いほど分かります。
しかし、カード会社に何十万円もの手数料を貢ぎ続けることと、一時的に頭を下げて人生をリセットすること。
どちらが本当に自分のためになるか、冷静に天秤にかけてみてください。
2. 繰り上げ返済(毎月の返済額を増やす)
一括返済が難しい場合、次に検討すべきは 「毎月の返済額の増額」 です。
多くのカード会社では、アプリやWebから月々の支払設定を変更できます。
例えば、先ほどの50万円の例で言えば、月1万円の返済を 「月2万円」 に増やすだけで、状況は激変します。
月1万円返済 : 完済まで6年半、手数料29万円
月2万円返済 : 完済まで2年半、手数料10万円
たった1万円の上乗せで、返済期間は4年も短縮され、手数料も約20万円浮くことになります。
飲み会を2回我慢してでも、ここに資金を投じる価値は十分にあります。
3. 債務整理(私が選んだ「根本解決」)
もし、「貯金もない」「親にも頼れない」「毎月の増額なんて余裕はない(既に赤字)」という状態なら。
選択肢は一つしか残されていません。
私が選んだ、「債務整理」 という法的手段です。
「債務整理」と聞くと、人生の終わりのようなイメージを持つかもしれません。
しかし、債務整理はもっとライトで実務的な手続きです。
例えば任意整理では、弁護士がカード会社と交渉し、「将来発生する利息(手数料)をカットしてもらう」 というものです。
任意整理を行うと、どうなるか。
毎月の支払いがすべて「元金の返済」に充てられるようになります。
あの「穴の空いたバケツ」の穴を塞ぐことができるのです。
私の場合、幾つも抱えていたため、任意整理では結局解決には至りませんでしたが、結果として、終わりの見えなかったリボ地獄から、確実に完済が見える計画へとレールを敷き直すことができました。
まとめ|今すぐ「本当の残高」を確認してください
リボ払いは、魔法の杖ではありません。
それは、あなたの未来の時間を搾取し続ける、高金利のローンそのものです。
この記事を読み終えたあなたに、一つだけお願いがあります。
今すぐカード会社のアプリを開き、「リボ払いの残高」 と 「毎月の手数料」 を確認してください。
そして、電卓を叩いてみてください。
もしその数字に震え、恐怖を感じたなら、それは正常な反応です。
その恐怖こそが、あなたを地獄から救い出す原動力になります。
もし、自力での返済が不可能だと悟ったなら、私が700万円の借金から脱出した具体的な記録を参考にしてください。
私の恥も失敗も、すべてそこに書いてあります。



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