「ブラックリストに載ったら、まともな生活ができなくなるんじゃ……」
債務整理を考えている人にとって、これが最後の壁になっていることが少なくありません。
私もそうでした。
「もう二度とローンが組めない」
「カードが持てない」
「人としての信用を失う」
そんな言葉が頭をグルグルと回り、債務整理の申し込みボタンを押す手が何度も止まりました。
でも、実際にブラックリストに載ってみて、わかったことがあります。
「思ったより困らない」し、「困るポイントは事前に対策できる」。
この記事では、債務整理後に信用情報機関に事故記録が載った私が、実際の生活でどんな影響を受けたのかを、ありのままにお話しします。
そもそも「ブラックリスト」とは何か
最初に誤解を解いておきます。
「ブラックリスト」という名前のリストは存在しない
「ブラックリスト」は通称です。
正確には、信用情報機関(CIC・JICC・KSCの3つ)に事故情報(異動情報)が登録されることを指します。
この事故情報が登録されると、金融機関が審査をする際に「この人は過去に返済事故を起こしている」と判断され、新たな借入やカード発行ができなくなります。
登録期間は5〜10年
債務整理の種類によって、事故情報が消えるまでの期間は異なります。
| 種類 | 登録期間の目安 |
|---|---|
| 任意整理 | 約5年 |
| 個人再生 | 約5〜7年 |
| 自己破産 | 約5〜10年 |
つまり、この期間を乗り越えれば、信用情報はリセットされるということです。
永遠に「ブラック」のままではありません。
まだ載っていない人へ──「延滞」を甘く見ないでほしい
ここで一つ、これを読んでいる人の中に「自分はまだブラックリストには載っていない」と思っている方がいたら、伝えておきたいことがあります。
延滞を繰り返していると、ブラックリストに載る前から「予備軍」として扱われます。
正式に事故情報が登録されていなくても、支払いの遅れは信用情報にしっかり記録されています。
カード会社は常にそれを見ています。
「1日くらい遅れても大丈夫だろう」
「来月まとめて払えばいいか」
そう気楽に考えている人もいるかもしれません。
でも、延滞の回数が重なれば、ある日突然カードの利用を止められる可能性があります。
私自身、ブラックリストに載る前──まだ「セーフ」だと思っていた頃に、アメックスから突然限度額を半分に減らされた経験があります。
「まだ大丈夫」と思っているうちが、一番危ない。
延滞するということは、返済能力の限界に近づいているということ。
そのサインを見逃さないでください。
実際に「困ったこと」
正直に言います。困ったことは、あります。
でも、その多くは事前に知っていれば対策できるものでした。
クレジットカードが使えなくなった
これが一番大きな変化でした。
当然ですが、手持ちのクレジットカードはすべて使えなくなります。
ネット通販の支払い、サブスクの月額引き落とし、ガソリンスタンドでの決済──。
クレカに依存していた生活のあらゆる場面で、「あ、使えないんだった」という瞬間が訪れます。
最初の1〜2週間は、正直、不便でした。
ETCカードが失効した
クレジットカードの付帯サービスなので、ETCカードも一緒に使えなくなります。
高速道路の一般レーンに並ぶあの気まずさは、地味にダメージがありました。
スマホの分割払いができなくなった
新しいスマホを買いたいとき、端末代金の分割払いができなくなります。
分割払いも実質的には「信用取引」なので、ブラックリストに載っている間はNGです。
これは最初から覚悟していたので、次の機種変更のために少しずつお金を貯めて、一括で購入しました。
正直、十何万円という金額を現金で払うのは心理的に重い。
でも、「自分のお金で買った」という実感は、分割で何となく手に入れていた頃よりもずっと大きかったのを覚えています。
実際に「困らなかったこと」
困ったことよりも、こちらの方が伝えたい。
「ブラックリスト=生活破綻」ではありません。
銀行口座はそのまま使える
ブラックリストに載っても、銀行口座が凍結されたり、閉鎖されたりすることはありません。
給料の振込口座も、光熱費の引き落とし口座も、すべてそのまま。
これは意外と知られていません。
デビットカードが万能だった
クレジットカードの代わりに、デビットカードがほぼすべてをカバーしてくれました。
ネット通販、コンビニ、スーパー、ガソリンスタンド──。
VISAやMastercardのマークがついたデビットカードなら、クレジットカードと同じ決済端末で使えます。
違いは「後払い」か「即時引き落とし」かだけ。
むしろ、使った瞬間に口座から引かれるので、「今いくら残っているか」が常にわかる。
借金生活を経験した人間にとって、これほど安心できる仕組みはありません。
PayPayやSuicaも問題なし
スマホ決済系は、クレジットカードがなくても使えます。
銀行口座やATMからのチャージで利用するだけなので、信用情報は関係ありません。
家族のカードやローンには影響しない
「自分がブラックになったら、妻(夫)のカードも止まるんじゃないか」
この不安を抱えている人は多いですが、答えはNOです。
信用情報は完全に個人単位で管理されています。
配偶者やお子さんの信用情報には一切影響しません。
賃貸契約も問題なかった
「ブラックだと部屋が借りられない」という情報を見ることがありますが、これはケースバイケースです。
信販系の保証会社(オリコ、ジャックスなど)を通す場合は審査に影響する可能性がありますが、独立系の保証会社であれば信用情報を参照しないため、問題なく契約できます。
実際、私は手続き後に引っ越しもしましたが、特に問題はありませんでした。
困ったことには、全部「代替手段」がある
ここまで読んでいただければわかると思いますが。
ブラックリストで「できなくなること」には、ほぼすべて代わりの方法があります。
| できなくなること | 代替手段 |
|---|---|
| クレジットカード | デビットカード + スマホ決済 |
| ETCカード | ETCパーソナルカード(デポジット型) |
| スマホの分割払い | お金を貯めて一括購入 |
| サブスクの支払い | デビットカードまたは口座振替に変更 |
| ネット通販 | デビットカード / コンビニ払い |
どれも、最初の切り替えさえ済めば、あとは普通に生活できます。
まとめ:ブラックリストは「人生の終わり」ではなく「財布の整理期間」
ブラックリストに載ること。
それは確かに、一時的な不便を伴います。
でも、「不便」と「生活破綻」はまったく違います。
デビットカードがあれば買い物はできる。
銀行口座はそのまま使える。
家族には影響しない。
仕事にも影響しない。
むしろ私にとって、ブラックリスト期間は「財布の整理期間」でした。
クレジットカードという「見えないお金」が使えなくなったことで、初めて自分の収入と支出が見えるようになった。
「今月あといくら使えるか」が肌感覚でわかるようになった。
それは、借金に追われていた頃には絶対に手に入らなかった「お金の実感」です。
ブラックリストを恐れて債務整理を先送りにしているなら。
その恐怖の正体は、想像しているほど大きなものではありません。
本当に怖いのは、ブラックリストに載ることではなく。
返せない借金を抱えたまま、何もしない「今の状態」の方です。

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