自分は35歳で自己破産、50代で任意整理、そしてその半年後に個人再生と、人生で3回の債務整理を経験しました。
その中で一貫して悩んだのが、費用をどう工面するかという問題です。
この記事では、
・実際に自分が支払った金額(領収書が残っているものは正確に)
・債務整理の種類ごとの費用相場
・「払えない」と感じたときの具体的な選択肢
を、体験談を交えながら整理していきます。
債務整理は、「お金がある人だけの制度」ではありません。
お金がない状況から抜け出すための制度です。
体験談|3回の債務整理で実際にかかった費用
自分は35歳で自己破産、50代で任意整理、そしてその半年後に個人再生へ切り替えと、人生で3回の債務整理を経験しました。
「3回も経験していれば、費用の比較くらいできるだろう」と思われるかもしれません。
ただ、正直に言わせてほしい。
3回とも記憶の鮮明さが違います。
自己破産は金額すら覚えていない。任意整理は領収書が出てきた。個人再生は家計簿をつけていたから記録がある。
ここでは、覚えているものは正確に、覚えていないものは「覚えていない」と書きます。
自己破産(35歳)――金額は覚えていない
35歳のとき、自己破産を選びました。
弁護士に依頼して手続きを進めてもらった。
当時の費用がいくらだったか。
正直、ほとんど記憶にありません。
分割で払ったことだけは覚えている。月7万円ぐらいだったような気もするが、正確な額は定かではない。
なぜ覚えていないかと言えば、当時は費用を気にする余裕すらなかったからです。
借金が膨らみ、督促が止まらず、毎日が恐怖でした。
弁護士に相談した時点で気持ちは限界を超えていた。
「いくらですか?」と聞いて、「はい」と答えた。
それだけの記憶しかありません。
判決が出るまでに約1年かかった記憶がある。
「そんな大事なことを覚えていないなんて」と感じる人もいるかもしれません。
でも、当時の自分にとって費用の金額は「いくらでもいいから、この状況を終わらせてほしい」の前では、些細な情報でした。
そして、これはまさしく当時の精神状態そのもの。
自己破産という大きな手続きを経験しておきながら、その教訓が何も残っていない。
費用の記録も、手続きの記憶も、ほとんど消えている。
この「学びが積み上がらなかった」ことが、後に再び借金地獄に落ちた原因の一つだと、今は感じています。
任意整理(50代)――領収書が見つかった
50代で任意整理を依頼したときの費用。
最近になって、自宅から当時の領収書が出てきました。
総額46万円(税別)。
依頼先は司法書士事務所。月8万円の分割払いです。
「任意整理は1件あたり2万円〜」という広告をよく見かけますが、あれは最低金額です。つまり「2万円から」ということ。
自分の場合、債権者の数が多かったこと、そして債務の残存金額(支払い残金)によって着手金が変動するシステムだったため、総額は46万円にまで膨らみました。
受任通知が出て督促が止まり、
それまで返済に回していたお金を費用に充てた。
この「返済が止まる期間に費用を払う」仕組みに助けられた記憶はあります。
依頼から和解成立までの期間は、約半年。
しかし、任意整理で生活が回復したかと言えば、そうではなかった。
半年ほど経過しても状況は好転せず、
最終的に個人再生へ踏み切ることになります。
個人再生(50代・任意整理から半年後)――記録が残っている
任意整理で生活が立て直せないと判断し、個人再生に切り替えたとき。
このときは、費用の記録が残っています。
総額52万8,000円。弁護士に依頼しました。
支払い方法は分割。最初に割り切れない端数を納め、その後は月8万円を6回。
合計7回の支払いで完了しています。
費用を納め終えた後も、判決が出るまでに数ヶ月の期間がありました。
その間に行われたのが「予行演習」です。
個人再生が認可された後、実際に債権者へ毎月返済していくことになりますが、その前に「本当にこの金額を毎月払えるか」を試すテスト期間が設けられる。
自分の場合、毎月4万6,000円を2回、計9万2,000円を納めました。
なお、この予行演習で支払ったお金のうち、余分に納めた分は後日返金されています。
「取られっぱなし」ではない。これは知っておいてほしい情報です。
費用の記録が残っている理由は明確です。
個人再生の手続き中、毎月弁護士事務所へ家計簿を提出する必要がある。
返済計画を立てるための予行演習も兼ねて、収支を記録していたから残った。
自ら率先してつけたわけではなく、手続き上の必要に迫られて残ったもの。
35歳の自己破産では、そんな仕組みもなかった。
その差が、今この記事を書ける理由になっています。
また、個人再生では「個人再生委員」が裁判所から選任されるケースがあります。自分の場合は付きませんでしたが、もし付いた場合は18万円程度の追加費用が発生していました。
この有無だけで、費用の総額は大きく変わる。事前に弁護士へ確認しておくべきポイントです。
依頼から判決が出るまでの期間は、約1年。
完済までに5年かかった現実
任意整理と個人再生を続けて行うことになったため、自分の場合、完済までに約5年かかりました。
任意整理で約半年(和解成立まで)。その後、個人再生に切り替えて約1年(判決まで)。
そこからあらためて返済が再開し、3年間の返済期間を経て2026年3月15日に完済。
「債務整理をすればすぐにスッキリする」というイメージがあるかもしれません。
でも現実には、手続き期間+返済期間という長い道のりが待っている。
その覚悟は、最初に持っておいた方がいい。
なぜ費用を覚えていない回と覚えている回があるのか
3回の債務整理を経験して、金額を正確に覚えているのは2回だけ。
自己破産の費用は、今でもわからないまま。
これは恥ずかしいことだと、以前は感じていました。
でも今振り返ると、覚えていない理由は単純です。
「いくらかかるか」より「この状況をどうにかしてほしい」が先だったから。
それがすべてです。
そして実際のところ、払えない金額ではなかった。
依頼すると債権者への返済が止まる。
それまで債権者に払っていた分が、そのまま費用に充てられる。
だから自分にとって、費用がいくらかはあまり重要ではなかった。
「いくらですか?」と聞いて、「はい」と答える。
金額を控える余裕もなければ、控える必要性も感じなかった。
返済が止まって、費用を払って、手続きが進む。
その流れに乗れれば、金額の細かい数字はどうでもよかった。
だからこそ、今この記事を読んでいるあなたに伝えたい。
費用は、債権者への返済が止まった分で払える仕組みになっている。
費用を細かく計算してからでないと相談できない、なんてことはありません。
費用は後から整理できる。
でも、相談を先延ばしにした時間は戻ってこない。
債務整理の費用相場
体験談だけでは判断材料として不十分な部分があるため、ここからは一般的な費用相場を整理します。自分の記憶や領収書と照らし合わせてみてください。
任意整理の費用相場
任意整理にかかる費用は、1社あたり2〜5万円前後が基本です。
ここに、利息や遅延損害金を減額できた場合の「減額報酬」が加わることがある。
借入先が多いほど費用は増えます。
たとえば5社なら10〜25万円、10社なら20〜50万円程度が目安。
自分の場合、債権者の数が多く、残存金額による変動もあったため、46万円(税別)になりました。
「1件2万円〜」の広告だけを見て予算を組むと、実際の請求額に驚くかもしれません。
任意整理は裁判所を通さない手続きのため、
他の方法と比べると費用は抑えやすい傾向にあります。
分割払いに対応している事務所が多いのも特徴です。
個人再生の費用相場
個人再生の費用は、30〜60万円前後が相場です。
裁判所を通す手続きのため、書類作成や対応範囲が広くなり、
任意整理より高くなる。
自分が支払った52万8,000円は、相場のほぼ中央です。
加えて、裁判所への予納金(1〜2万円程度)や、
個人再生委員が選任される場合は、その報酬(15〜25万円程度)も別途かかるケースがある。
自分の場合、個人再生委員は付きませんでしたが、もし付いていれば18万円の追加。総額は70万円を超えていた計算になります。
住宅ローンを残しながら借金を減額できる「住宅資金特別条項」を利用する場合は、
追加費用が発生する事務所もあるため、事前の確認が必要です。
自己破産の費用相場
自己破産の費用は、30〜50万円前後が目安です。
ただし、手続きの種類によって大きく変わる。
財産がほとんどない場合は「同時廃止」となり、費用は比較的安く済む。
一方、一定の財産がある場合は「管財事件」となり、
破産管財人への報酬(最低20万円程度)が加算されます。
自己破産は「すべてを失う」というイメージが強いかもしれませんが、
生活に必要な最低限の財産は手元に残せる制度です。
費用面でも、法テラスの立て替え制度を利用できるケースが多くあります。
費用内訳の基礎知識
費用は、一括で「○万円」と請求されるものではなく、いくつかの項目に分かれています。
主に押さえておきたいのは、次の3つです。
着手金は、手続きを開始するための初期費用。
依頼時に発生しますが、最近は分割払いに対応している事務所や、
任意整理では着手金を無料としている事務所も増えている。
報酬金は、手続きが完了した際に支払う成功報酬にあたります。
任意整理では和解成立時、個人再生や自己破産では手続き終了時に発生するのが一般的です。
減額報酬は、借金を減らせた金額に応じて支払う成果報酬。
任意整理で多く採用されていますが、すべての事務所が設定しているわけではありません。
事前に必ず確認すべきポイントです。
「費用が払えない」ときの現実的な選択肢
ここまで相場を見て、「やっぱり高い」と感じた人もいるかもしれません。
でも、債務整理の費用は「今すぐ全額を用意する」前提で設計されていない。
費用が払えない状況を前提にした仕組みが、ちゃんと用意されています。
分割払いの「ほぼ口約束」という実態
自分は3回とも分割払いで費用を支払いました。
月7〜8万円を、数ヶ月にわたって納めていく形です。
ここで一つ、あまり語られない事実を書いておきます。
分割払いの契約は、ほぼ口約束です。
もちろん契約書は交わします。でも、それは簡単な書類のみ。
審査があるわけでも、保証人が必要なわけでもない。
その代わり、約束を破った際のリスクは大きい。
債権者への支払いが一括に戻り、弁護士への支払いも一括を求められることが想像されます。
どうしても支払いが遅れる、滞る場合は、必ず前もって相談すること。
これだけは強く伝えたい。黙って滞納するのが、一番まずい選択です。
法テラスの立て替え制度――ただし、まずは弁護士・司法書士へ
法テラス(日本司法支援センター)には、一定の収入基準を満たしていれば費用を一時的に立て替えてくれる制度があります。
利用者は、その立て替え分を後から月5,000〜1万円程度の分割で返済していく形です。
ただし、自分がお勧めしたいのは、最初から法テラスに駆け込むことではありません。
まずは弁護士、または司法書士に無料相談すること。
どうしても費用を払う見込みがない場合は、そこで法テラスを紹介されます。
一方、分割でも払える見込みがあるなら、まずは依頼して債権者への支払いを止めるのが最善だと感じています。
なぜか。
受任通知が出れば督促が止まる。返済も止まる。
止まった分のお金で費用を払えるようになる。
この「止める→費用に回す」の流れに乗ることが、生活再建の第一歩になるからです。
法テラスは心強い制度ですが、あくまで「紹介されるもの」。
自分から直接行く前に、弁護士や司法書士の無料相談で状況を整理してもらう方が、結果的に早く動ける。
生活保護を受けている場合や、収入が極端に低い場合は、
立て替え分の返済が免除されるケースもあります。
着手金ゼロの事務所
事務所によっては、着手金を0円に設定し、
手続き完了後の報酬のみで対応しているところもある。
「今すぐお金がない」という人でも、依頼のスタートラインに立てる仕組みです。
ただし、「着手金ゼロ=総額が安い」ではありません。
報酬金や減額報酬が加算されて、結果的に総額は他の事務所と変わらないケースもある。
大切なのは「支払いのタイミング」と「総費用の内訳」を事前に確認すること。
金額の安さよりも、支払いの柔軟性を重視する。
この視点を持つだけで、選べる事務所の幅は大きく広がります。
弁護士と司法書士、どちらに頼むべきか
費用を調べていると、「司法書士の方が安い」という情報を見かけます。
自分は両方を経験しているので、実感をベースに書きます。
自分の使い分け
自己破産と個人再生は弁護士に、任意整理は司法書士に依頼しました。
それぞれに理由がある。
任意整理は裁判所を通さない手続きなので、司法書士でも十分に対応できた。
一方、自己破産と個人再生は裁判所を通す手続きであり、代理人として動ける弁護士に任せた方が安心だった。
結果的に、この使い分けは間違っていなかったと感じています。
弁護士の強み
弁護士の最大の強みは、すべての債務整理手続きに対応できること。
任意整理はもちろん、個人再生や自己破産といった裁判所を通す手続きも、
最初から最後まで代理人として任せられます。
借金総額や債権者数に制限がない点も大きい。
状況が途中で変わった場合でも、任意整理から個人再生へ切り替えるなど、
柔軟に対応してもらえる。
自分自身も、任意整理から個人再生へ移行できたのは弁護士に依頼したからでした。
費用はやや高めでも、手続き全体を通して任せられる安心感は、
結果的に合理的だったと感じています。
司法書士の強みと限界
司法書士の強みは、費用が比較的安く、任意整理などシンプルな案件に向いている点です。
借金額が少なく、債権者数も限られている場合には十分な選択肢になる。
ただし、明確な制限がある。
代理できるのは、1社あたり140万円以下の債権に限られます。
個人再生や自己破産では、書類作成の補助はできても、裁判所での代理権はありません。
状況が悪化して手続きの切り替えが必要になった場合、
あらためて弁護士に依頼し直す必要が出てくる。
この点は、最初に理解しておくべきポイントです。
迷ったら弁護士
どちらに依頼すべきかわからない場合、弁護士を選ぶのが最適解です。
理由は単純。どの手続きにも対応でき、途中で方針転換が必要になっても一人の専門家に任せ続けられるから。
自分のように任意整理で解決できず個人再生に切り替えるケースは、決して珍しくありません。
費用は司法書士より高くなることが多い。
でも、「最初から弁護士に頼んでおけばよかった」と感じる可能性まで含めて考えれば、
トータルのコストは弁護士の方が低くなるケースもあります。
まとめ|費用は「払えるか」ではなく「どう払うか」で考えていい
債務整理の費用は、確かに安いものではありません。
自分の場合、任意整理で46万円、個人再生で52万8,000円。自己破産の費用は覚えていないが、月7万円の分割で支払っていた。
でも、分割払い、後払い、法テラスの立て替え制度など、
「払えない状況」を前提にした仕組みが用意されています。
分割払いの契約はほぼ口約束。簡単な書類一枚。
その代わり、約束を破れば一括返済が待っている。
だからこそ、困ったら黙らずに相談する。それだけ守ればいい。
自分は3回の債務整理を経験し、完済までに5年かかりました。
その間に学んだことは一つ。
「いくらかかるか」より、「どう払うか」を知っていることの方がはるかに大事。
費用を理由に相談を先送りにしている時間こそが、最もコストが高い。
迷っているなら、まずは無料相談から始めてみてください。
金額を聞いて「はい」としか言えない状態でも、動ける仕組みはあります。
その一歩が、借金問題を終わらせるきっかけになります。

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